電子書籍の貸し借りや回し読みを友人としたいけど違法になる?

今では紙と同じくらい身近な存在となっている電子書籍。紙書籍のように貸し借りしたり、友人と回し読みしたりしても良いのか気になる方も多いかと思います。紙の漫画を学校などで友人と回し読みをした経験がある人も多いかもしれません。

 

電子書籍はサービスの規約はもちろん、著作権によって書籍は守られていたりしますので、貸し借りなどは違法となる可能性もあります。この記事では、電子書籍を人に貸したり借りたりする行為について、法的な観点から解説します。

 

電子書籍を友人に貸し借りするのは違法?

早速ですが、電子書籍を人に貸したり借りたりする行為は法的に許されているのでしょうか?ずばり、これは貸し方や借り方によって合法の場合も違法の場合も存在しますので、なかなか判断が難しかったりします。

 

特に争点となるのは、著作権法において定められている「著作者が専有すべき権利」を侵害しているかどうかです。著作権法では、第二章第三節第三款(著作権に含まれる権利の種類)において、著作者が以下の権利を専有すると定めています。

 

※著作権法 第二章第三節第三款(著作権に含まれる権利の種類)

  • 複製権
  • 上演権及び演奏権
  • 上映権
  • 公衆送信権等
  • 口述権
  • 展示権
  • 頒布権
  • 譲渡権
  • 貸与権
  • 翻訳権、翻案権等
  • 二次的著作物の利用に関する原著作者の権利

出典:著作権法 | e-Gov法令検索

 

つまり、著作者でない私たちが上記の権利を行使しては法に触れてしまう形です。ただし、別途定められた特別な例外条件(同章同節第五款 著作権の制限)がいくつかあり、それに当てはまる場合は適法とされます。

 

といっても、なかなか理解するのが難しく具体的なイメージまでは湧かないですよね。それでは電子書籍で友人との貸し借りをする場合で、よくあるケース別に違法か合法かを見ていきましょう。

 

電子書籍をコピーして貸す行為

もっともありがちなシチュエーションである「電子書籍をコピーして友人等に渡してしまった場合」はどうなるのか。これは皆さん想像通りかと思いますが、例え一時的な貸し借りのつもりであっても違法となります。

 

上記の権利の内、複製権を侵害すると考えられています。なお、自分や家族が利用するための複製に限っては「私的目的のための複製」と呼ばれる例外条件に該当し、合法だと想定されています。

 

友人の場合は当てはまらないため、電子書籍のコピーしてはいけません。またそもそも電子書籍はコピーガードがかかっている書籍がほとんどですので、基本的にコピーはできないのです。

 

電子書籍ファイルを移動させて、友人等に貸す行為

では、複製せず電子書籍ファイルを移動させ、自分の端末に残さない形で一時的に友人等へ貸し出すのはどうでしょうか?難しいところですが、これも違法だと考えられます。こちらは上記の「譲渡権」に触れると想定されるためです。

 

※譲渡権

第二十六条の二 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。以下この条において同じ。)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。(後略)

出典:著作権法 | e-Gov法令検索

 

また、ほとんどの電子書籍ストアの規約では、そもそも書籍の他人への共有や譲渡を禁止しており、アカウント停止などの厳しい措置もあり得ます。よって、友人等のために電子書籍ファイルをコピーする、ファイルを移動させる、どちらも避けておけると安心です。

 

自分のアカウントを友人と使いまわしする行為

では発想を変えて、自分のアカウントを友人等に知らせて使いまわしする行為はどうでしょうか?書籍そのものではなく、ストアのアカウントを共有あるいは貸す形式ですね。1つのアカウントなので別に問題なさそうと思ってしまうかもしれませんが、残念ながら、こちらも避けておくべきです。

 

ほぼすべての電子書籍ストアでは、アカウントやID・パスワードの共有・譲渡は禁止行為として規約に掲載されています。具体的にどの法律に触れるかは裁判で争うことになるものの、損害賠償請求などの法的措置を取られる可能性も十分にある、危険な行為です。決して行わないようにしましょう。

 

電子書籍をダウンロードしたデバイスを貸す行為

それでは電子書籍をダウンロードした端末そのもの、つまりスマホやタブレットごと友人等に貸し出す行為はどうでしょうか?回し読みをする為に一番簡単な方法ですが、こちらも違法では?と思われるかもしれませんが、実は合法の可能性が高いです。

 

厳密には、友人等に貸したり分け与えたりするために電子書籍をコピーすること自体は違反なため「自分や家族が楽しむ目的で電子書籍を入れている端末」を、不要になって譲渡したり、貸したりするのはOKだと考えられます。

 

ただし、特に貸し出しの場合は、端末内の書籍を含む自分のプライベートデータすべてが見られてしまうデメリットはあります。この点は忘れずに意識しておきましょう。

 

実は電子書籍を貸し借り出来るサービスがある

上述の通り、デバイスごとの貸し出し以外はほとんどのケースで違法となるなど、紙と異なり電子書籍の貸し借りは大変です。しかし一方で、アメリカの「Amazon.com」では、「自分がKindleストアで購入した電子書籍を友人等に貸し出せる」というユニークなシステムをすでに提供しています。

 

こちらは1回当たり14日間まで貸し出しでき、貸している間は自分が読めなくなる面白いサービスです。当然、合法のサービスとなるので嬉しいサービスですね。遠距離の相手とも、本当に紙の本をやり取りしているかのように楽しめます。

 

しかし残念ながら、アメリカのサービスであるため作品も英語です。わからない文章が出てくるたびに翻訳サービスを使う手もありますが、よほど英語が堪能でないと、なかなか日本語と同様には楽しめません。日本のAmazonでも対応してくれる日を楽しみに待ちましょう。

 

過去ではhontoが回し読み機能の実験を実施

2019年には、国内でもハイブリッド型総合書店hontoが「honto電子書籍回し読み」と呼ばれるサービスの実証実験を行いました。この機能はユーザーが電子書籍を購入した後、その電子書籍の「期間限定無料試し読み版」を閲覧できるURLを好きな相手に共有できるサービスです。

 

無料試し読み版と名付けられているものの、期間内は全ページが読めるため、実質的に友人等と紙の書籍を回し読みするのと変わらない使い勝手を実現していました。いずれは大手ストアでも、当たり前のようにこのような機能が搭載される日もくるかもしれません。

 

但し2021年12月現在、回し読み出来るようなサービスなどを提供しているストアはなく、まだまだ時間がかかりそうです。

 

まとめ

この記事では電子書籍の貸し借りや回し読みについて、法的な側面からご紹介しました。紙書籍と異なり、電子書籍の貸し借りはほとんどの場合で違法です。そもそも規約で禁止されている行為ですので、貸し借りなどはしない方が安心でしょう。

 

しかし一方で、海外のアマゾンなど一部のサービスでは合法的に貸し借りや回し読みができるサービスも登場しつつあります。紙と同じ気分でやり取りできる日もそう遠くはないのかもしれません。

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